2014年11月6日木曜日
死の匂い
いつも良くしてくれている助手の1人が てんかん患者 だということを知りました。
先月かな、オーストラリアから学生がワークショップをしに
2週間ほどITBに来ていたのですが
その時、ITBで対応するはずの先生がワークショップ中まるまる抜けるというようなことがあって(インドネシアではよくあること)
助手である彼がほとんどすべてを対応していました。
ものすごいストレスに強い人だな
と元々感じていたのだけど、
今思えばストレスに強いのではなくて、ストレスを溜めない努力をしていたのだと思う。
ワークショップを残り2日残して、
あまりのストレスに耐えきれず、発作が出て学校に来れなくなった。
それから1週間半が経ち、学校にほとんど来れていない状況でした。
今は、前のようにほぼ毎日学校に来ているのですが
まだ病院に通院したり、
早めに帰って休むようにしているみたいです。
彼が てんかん患者 であることは、私以外は皆知っていたらしい。
ストレスが溜まると痙攣を起こして倒れてしまうそうで
毎日飲んでいた薬は、てんかんの薬だったそうです。
彼がツラい身体を無理矢理起こして学校に来た時にこんな話をしてくれました。
「死と生の間を行き来したみたいだ。思い出が走馬灯のようになって流れた。
でも、アッラーが出て来て僕の背中を押したの。そしたら目が覚めた。」
それからはずっとイスラミックな話だったので
私は正直よく分からない部分の方が多かったのだけれど
聞いていてすごくツラかった。
死と信仰の関係 を考えたりした。
てんかんの発作を止める薬というのは
自殺願望を引き起こす作用があることで知られているそうで
それでも薬を飲まないといけない。
彼はなんどもそれと戦わなければならなかったらしい。
この前は1日に6度も痙攣を起こしたと言っていた。
なんでもなく話す彼と
それをなんでもなく聞く周りの子の図が
すごくつらく見えたのです。
話している間、彼は何度も
「人は hoping があるから生きて行ける」
ということを言いました。
彼は、病院のドクターだけでなく
パハジ(Bapak haji)という、簡単にいうとイスラム教マスターみたいな人に
相談しに行ったりしたそうです。
科学的な治療と、宗教的な方面からの精神的治療をしてもらっているということです。
私のネシアの友達には
統合失調症とか、鬱病の子とかが結構います。
彼らは大抵お金持ちの子で、
だからこそこういったネシアでは特殊な病名を知る知識が得られる環境にいるしちゃんと治療を受けられるんですけど
学校での彼らと、二人きりになった時に話してくれる色々なことというのは全然違くて
いつも、二人きりの時は死の匂いを感じるのです。
わたしは、コーランで何故自殺が禁じられているかが分かった気がしました。
この前、ITBの先生の1人が亡くなって
その日、お葬式前夜の式典のようなものに連れられて行きました。
ネシアで初めてのお葬式でした。
私はその先生と面識がないので、
ツラい というような気持ちは全くなかったのですが
目の前にある、
1メートルにも満たない距離にある
白い布に包まれて、
木の棒と布で作られた担架の上に乗せられた
それが
死んだ人であるということを
なんだか不思議に思いました。
箱であるとか 彼とわたしの間に空間的な仕切りが無いのは
なんだか怖いなと思いました。
生と死の間に仕切りが無い事が怖いと感じたのだと思います。
病気であるとか
死であるとか
宗教であるとか
そういうものがインドネシアという国を
インドネシア人という人々をキラキラと見せて居るのだな
と思いました。
発展途上国に住んでいる人は、人間が暖かいよね
というような言葉をよく聞きますが
なぜ暖かいのかを知ってしまった気がします。
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