ITB大学の学生は
もう既に何十人もの学生が
日本の政府から莫大な金額の奨学金を得て日本へ留学しているので
余ったお金でそりゃあもう何度もインドネシアへ遊びに帰って来るので
会う機会がよくあります。
彼らの多くは日本のインターナショナルクラスに在籍しているので、
必ずしも日本語を習得している必要はないためほとんどは日本語が話せません。
それでも日本語しか話されないクラスはいくつかあるそう。
日本に行ったばかりのうちの1人で
始まって一ヶ月も経たないうちに一時帰国した子が
「日本語がわからん」
といって、先生からもらったらしいパワポのデータを見せて来て
教えて欲しいと言って来た。
この子は本当に聡明な女の子で、
そして敬虔なイスラム教徒でもある女の子。
すごく気さくで、一緒に遊んだりはしたことないけれど
時間があえば一緒にご飯を食べたり、お茶をしたり、家まで送ってもらったりする。
その子がもってきたパワポのデータは
自然人間学というもので
日本語がわかっても、
講義も聞いてないのにパワーポイントみただけでは
日本人だからといって私も全然分からなかった。
分かるものだけを説明している時に
「人間は動物の中でも発汗によって体温調節する機能がすぐれている」
というような文章を説明していた時に
ものすごく怪訝な顔をした。
「動物?」
「うん、人間って動物じゃん」
「えっ!?」
と、いう会話になる。
動物じゃん
と言った所で、私自身、 あっ となったのだけれど
彼女の反応を見るに、
これは宗教からくるものなのか、それともインドネシアの教育からくるものなのかが分かりかねたので
とりあえず
「えっと、少なくとも日本では、人間というのは動物だという考えをするんだよ。」
というふうに遠回りに説明をした後に
「インドネシアではどう捉える?」
と聞くと、かなり戸惑いながら
「インドネシアではというか、イスラム教では人間は土から作られたって考えてるから…」
というので、私もコーランにそんな文章そういえばあったなと思い出す。
土を練って人の形に作り上げたものに
精液を一滴垂らしてヒトにする
そういったような文があった。
「ともかく、この自然人間学がどういうものなのかよく知らないけど、
日本人の一般的な考えとしては
アウストラロピテクスから分岐してからこうして ヒト になっていった
って多くの人が思ってると思うよ。
アウストラロピテクス、日本語では”猿人”って言って”猿な人”っていう意味だし」
猿人を辞書で調べると
ape-man
だそうで、
「うん、ほら、日本語だけじゃなくて英語でもape(猿)man(人)だから
日本だけじゃなくて、サイエンスなんじゃないかな~~(フワーッとした説明)」
と、占めておいた。
普段はガンガン宗教ネタに突っ込んで行く私ですが
彼女はこの上なく珍しい程ストイックなイスラム教徒なので
これ以上は彼女の宗教性に深く関わりすぎるのはよくないと思い
まあ、ともかく人間の成り立ちっていうのは「サイエンス的」にはこうだから
そんなかんじで!!(触らぬ神に祟りなし)
と、適当に終わらせておいた。
アメリカ人の約半数がダーウィンの進化論を信じていないというのはよく聞く話だけど
イスラム教のそれはあまり意識したことがなかった。
アメリカにおけるキリスト教も
ネシアにおけるイスラム教も
本当に進化論を信じていないというよりは、”表向き”そういうことにしてあるという
部分があると思うけれど
そもそもそんな表向き宗教観と、科学としての事実を2つ持たないと行けないこと自体が
すごく面倒くせぇぇと思ってしまう訳です。
いずれにせよこれからこの聡明なイスラム教徒の彼女が
「人の先祖はサルです!」という授業を受ける事は
ひどく苦痛なんじゃないだろうか。
この前読んだネットの記事で
チンパンジーの研究をしている松沢哲郎氏へのインタビューで
まさしくこの話題に直結することが書いてあった。
出来事が起きた順番としては、このインタビューを読んだ後に
上に書いた彼女との「ヒトはサルかどうか」の話が起こったので
私の頭の中ではこの時のインタビューがダイレクトに理解できたのです。
エナゴ : トップ研究者インタビュー 松沢哲郎
http://www.enago.jp/drmatsuzawa/
たとえば、私は日本にいる限り毎日アイやアユムと過ごし、一緒に暮らす中から発見をつむぎ出していきますが、欧米の研究者から見ると、異様なほどチンパンジーとの距離の近い、チンパンジーに溶け込んでいくような研究者だと思われているでしょう。欧米のキリスト教的価値観で言うと、チンパンジーは黒くて大き なサル以外の何物でもないんですよ。どうにもならないほどはっきりと、「人間と動物」という二分法がある。一方で、輪廻転生も受け入れられる日本人的な生 命観では、自分は犬にもなるだろうし虫にもなるだろう、でもその虫が来世で人間になることもあるだろう、だから人間と動物を峻別する必要はなくて、実際に人間だって動物だし、生きとし生けるものの命がつながっているということを、比較的自然に受け入れられますよね。
松沢氏は、
日本人としてのメンタリティや価値観が日本の研究をユニークでオリジナルなものにしている
としていて、すんごく納得してしまった。
私は昔から
「新しい情報(今回でいうと松沢氏の記事)」
が入った後に、実際にそれを裏付ける
「体験(イスラム教の彼女の発言)」
が数日のズレをもって起こる事が多くて
「おお、これか!」
と、まさしく実体験として身に付く事が多いのですが
なんだかあまりにもタイミングがよすぎて運命めいていて
故に、私は運命論者なのであります。(もう何が言いたいのかわからん)
2 件のコメント:
バンドン在住の者です。宗教観からくる認識のズレ(日本的価値観に対して)なんかはコミュニケーションに於いて非常に手間がかかる・・・と思うか、興味深くて面白い、と思うかは人それぞれであると思いますが、やはりイスラム教について少しでも知ることが、コミュニケーションをより深い物にしてくれますね。
面白い記事でしたので、また来ます^^
こんにちは。コメントありがとうございます!
そうですね、イスラム教徒といえども聖書の解釈の仕方はそれぞれですし、そもそもコーランを読んだ事のない人たちの方が圧倒的に多いですから、本人たちもその考え方が宗教から来るのか文化から来ているのかはっきりしていない所が多いと思います。私はコーランを読んで憤慨した人間なのですが(笑)、イスラム教圏に住んでいると、彼らの宗教観からくる恩恵に預かってばかりなのも事実です。最近は「宗教観からくる認識のズレ」にイライラすることはほとんど無くなりました。生活と宗教がどういう風に繋がっているのかとかが見えてくると面白いですよね。
バンドンはもう長いのですか?最近雨期に入りましたね。
またよかった遊びにいらしてください。コメントありがとうございました!
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