タシクの話に戻ります。
タシクでは基本的にはずっとムムスさんのお宅に居たのでほとんど外出もせず
行った所といえば、他の職人さんの家と、知らない人の結婚式くらいで。
もうインドネシアの結婚式、10回くらいは出席してるのかなぁ。
外出しないし、ご飯はお世話になるし、果物は庭に生えてるわで
全然お金を使わなかったのですが、
唯一した買い物がこれです。
Ayakan(アヤカン)
どちらも竹で作られたカゴです。
白い2つの小さいものはトトさんのアトリエで買ったもので
黒くて大きいのはヤディさんのご両親の家で使われていたものです。
小さいものも美しいのですが
黒いのがちょっと面白いのです。
直径60cmくらいのAyakanと呼ばれるもので
この大きさのAyakanは本来魚を取る時に使うものだそう。
ヤディさんのご両親の家では日用品として2つ使われていて、
野菜を置いておくザルとして、そして洗ったお皿を乾かすため等に使われたりしていました。
Yadiさんのご両親の家の 仕事場 兼 食事する場所 兼 台所 兼 荷物置き場 です。 |
野菜置き場として使われています。 |
この家ではまだかまどで調理をしているのですが
かまどの上に竹製品などを置いておく事で薫製されます。
このAyakanが黒くなっているのは燻されているからです。
煙と熱で加工することを専門用語で燻煙熱処理と呼ぶのだと、この前ある方に教えて頂きました。
これは6ヶ月ほどかまどの上に置いておいたものだそうで、固く、丈夫です。
スモークベーコンのようないい匂いがします。
かまどからでる煤で壁が真っ黒です。 |
そんなかまどの上にこうして竹が干されています。 (下から見上げた様子) |
燻煙熱処理といっても
これはおそらく他の竹製品と同様
通常の行程を経て仕上げた後にニスを塗っているハズで、その上から燻製されているものだと思うので
中まで「燻製」されてるわけではないのでしょうが
その色と、匂いと形の美しさに魅了されてしまい
実際に使用しているところを無理を言って譲ってもらいました。
縁取っている太い木はココナツの木です。 |
私が買ったばかりの時は魚の鱗などがあらゆる所についていたりと
かなり生活感溢れる状態でしたが、この使い込まれた美しさ。
インドネシアに移り住んでから久しぶりに「美しい!」と心の底から思いました。
この燻製処理された竹製品はタシクのどこにも売っていないとのことですし
私も実際にこうした製品を見かけた事はありませんでした。
でも、この田舎で、未だにかまどを使用してご飯を作っている素朴な生活の中でのごくごく当たり前の行為の中で
先人の知恵として作られ、使用され、商売にするわけでもなくそこに在る。
そうしたことが美しいと思えたのかもしれません。
このAyakanは元々(燻されていない新品の状態で)日本円にして100円程で購入したものらしく
譲って欲しいとお願いした時に、値段が付けられないと言われたので
今まで日用品として使用してきたものを無理言って譲って頂いたこともあって
500円払いました。
後にムムス家に戻り
「クロが煤けたAyakanに500円も払った(=高すぎる)」
「何だって!?」
というゴシップが
何日もの間、親戚中でひそひそと話題になったのは言うまでもありません。
決して裕福な生活をしているワケではないYadiさんのご両親に
「燻製処理した竹製品、絶対売った方がいいよ!」
と余計なお世話で力説してみたものの、
タシクに住んでいる人は誰も黒く煤けた製品なんか欲しがらないということで
誰も理解してくれませんでした。
かまども家から無くなってきているそうですし
こうした「生活用品」が無くなっていくのも時間の問題でしょう。
ところで
このAyakanを買ったあと、職人さんのご好意で私が見ていない間にこの上からニスを塗られてしまったので匂いは完全に無くなってしまいました……残念
使って行くうちにまたニスもはげてきて匂いが出てくるといいなと思います。
日本に持って帰るつもりですが、直径60cm以上もあるAyakan……
何に使うかはまだ決めていません。
3 件のコメント:
すてきな買い物で羨ましい。こういうものに萌えるよね。ほしい!。ほんとニスは残念でした。
多大に萌えます!
「今まさにあなたが使っているソレを売ってくれ」っていうことが全然伝わらず(理解されない)、そうとう粘った末に譲ってもらったので、諦めなくてよかった……。という想いです!
ニスはホントに残念でした……ああっ
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