2013年4月2日火曜日
キレるネシア人
インドネシア人が怒っているのを見たことがない。
いや、見たことが無かった。
この前初めて見てしまった…
「キレるインドネシア人」。
研究室が閉まるので、帰ろうとすると校舎の前のちょっとしたスペースに
よく知っている3年生のメンツが十数人いた。
5段ある階段にずらっと並び仁王立ちして、すげぇ剣幕で階段下に居る2、30人の1年生にブチ切れていた。
言葉がわからなくても、キレているのだけはよくわかる。
ワークショップの時に、ムサビの助手さんに
「インドネシア人って上下関係厳しい?」と聞かれて初めてそのことに目がいった。
そういわれると確かに
私が院生とつるんでいるときに、友達の3年生が声をかけてくる場合、ちょっと緊張している感じがする。
逆に私が3年生とつるんでいるときにつるんで居るときに、院生が声をかけてくる場合はいつも私の前で見せるようなフザけた調子はなく、威厳のある対応を見せる。
アシスタントのメイに「後輩ってさ、君たちの前ではちょっとかしこまってるよね」というと「そう?」とあまり気にしていない様子だったので、まぁどこの国でも学年が違うと距離感ってこんなもんだよな。と思って私もあまり気にしなかった。
なのに、
なのに、めっちゃキレてるのである。
事はその数分前に戻る。
階段付近で知っている3年生何人かを見かけ、「何してんの?」と聞くと「卒業式のための出し物の練習してんだ。これから1年生がこっちにくるから見ててごらん」とニコニコして教えてくれた。
指差す方向を見てみると、音楽にあわせてパフォーマンスをしながら一年生がこっちに向かってくるのが見えた。
「なんか面白そうなことやってんな〜」
とわくわくして見ていると、事は一変。
さっきまで「クロー、元気?」
とかいって
ニコニコしていた3年生がゾロゾロと階段にたち始め、拡張器で怒鳴り始めた。
ワケが分からず後ろの方でオロオロしてると、バグースが「大丈夫、これは必要なことなんだよ」とワケを教えてくれた。
卒業式には、出し物を1年生が企画するしきたり。このためにスポンサーをつけるほどのビックイベント。
1年生はこれによって度胸を身につけ、プレッシャーに打ち勝つ力を身につける。それによって上級生との絆も深くなるんだ。と。
こんなヒソヒソ話を聞きながらも、近くで3年生は不良のようなメンチの切り方でどんどんその怖さを増していく。隙間からこっそりのぞくと、1年生はめっちゃくちゃ凹んでいて、いつ泣き出してもおかしくない雰囲気。
いつも見ているやさしい3年生たちがキレている姿を見て、私まで怖くて泣きそうになるほど。
バグースに「バグースは参加しないの?」と聞くと、「僕は怒る係じゃないからね」と。
ことが終って1年生が居なくなると、みんないつものニコニコ顔に戻っていてホッとしました。
アパートに帰り、同じアパートのオチャ(元ITB)にこの話をした。
「オチャー!インドネシア人が怒ってるの初めてみちゃったよ!」
と話すと、オチャが1年生だった時の話をしてくれた。
「私たちの時は、もっと怖かった。吹き抜けのある中央ステージに集められて、怒鳴られるの。2・3・4階から3年生たちが取り囲むように見てて、怒鳴ったり、ペットボトル投げつけたり、椅子を上から投げつけてきたりして(!)罵倒するの!で、終わってから裏に行って皆で大泣きするわけ。」
と、超体育会系。
「学校で3年生とすれ違う時、自分が一人だったりすると、私殺されるんじゃないかって本気で思うわけ。よく生きてたな〜って思うよ。」
「でもね、生きているうちで今でも一番素晴らしくて面白い時間だった。私が3年生になって同じことをするわけ。想像できる?あたしがポケットに手を突っ込んで怒鳴り散らしてるところ!笑っちゃうわ!」
パンドゥー(3年生)のアパートにパソコンを借りに行った時、
彼らが1年生の時に作った卒業式の動画を見せてもらった。
本当にスケールのでかい企画で、ひとつのショーだった。
ちゃんとストーリーがあって、海の神の生誕を祝うという話があり、楽器を演奏しながらパフォーマンスをする。コスチュームがちゃんとあり、パフォーマーだけで100人近い。かなりマジなひとつの演目でした。
ディズニーランドのパレードみたいな。
このすべてを1年生が行っている。
まえまえから「卒業式には絶対においで」といわれていた意味がよくわかった。
「毎日忙しくて、寝れなかったり、皆で学校で寝たりしてめちゃめちゃ大変だった。準備に何ヶ月もかかるんだ。スポンサー探したり、ストーリーを作ったり、振り付けを習ったり。3年生が僕たちに常に圧力をかけてくるから本当に大変でね。でも、本当に素晴らしい経験だったよ」と誇らしげ。
1年生に対して、常に3年生がサポートをする。
なので、寝れないのは1年も3年も同じらしく、ただ怒っているだけじゃなくて、何もかもをサポートするのだそう。
パンドゥーはこの話をしてくれた後、
「これからまた学校に行って1年の面倒みなきゃ」と言って夜の9時に出かけて行きました。忙しそうだけど、決して苦痛ではなさそう。
みんな充実した笑顔を見せる。
でも1年生の前では決して笑顔なんか見せない。
リオ(3年)に聞くと
「1年生っていうのはね、いわゆるまだ”ゴミ”みたいな状態なんだ(笑)。それをこの企画によって、人間的に成長させてやるんだよ。」と。
日本の体育大生に
「体育大では、1年生は奴隷、2年生は平民、3年生は総理大臣で、4年生は神」と聞いたことがあるが、そういう単なる上下関係とはワケが違う。
どっちかっていうと、日本の師弟関係に、ITBの1年生・3年生の関係を当てはめることができるんじゃないかと思う。
互いが互いをちゃんと尊敬し合えている。
ITBには卒業式以外にもこうしたイベントがいくつかあって、みんなそれにてんてこまいなんだそう。
1年生の前ではめちゃめちゃ怖いのに
3年生の誰に聞いても「今年の1年生、最高にいいやつばっかりだよ」と裏ではべた褒めなのがとても印象的だった。
インドネシア人の絆の強さって、こういう風にして作られるんだなぁ。
ITBでは卒業式が3回ありますが、2回目にあたるこの時期の卒業式が一番デカいのだそう。卒業式は4月6日。楽しみです。
教育に興味のある私は
金沢大の助手さんが「日本には”演技”という科目を設けるべき。」といっていたのを思い出し、今、激しくその必要性に賛同するのでした。
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2 件のコメント:
masuo です。
アパカバール?
先日は体調よろしくない中、一緒におさんぽしてくださり、ありがとうございます。
ムサビは一昨日が入学式で、最悪の天気でしたが桜はまだ咲いています◎
ぜひ住所、教えて下さい。私のアドレス分かりますか?ね。メール頂けたら幸いです。
ブログ、すんごく楽しみにしてます。
baik baik.apa kabar masuo?
とんでもないです。
結局カンプンナガのブログは私のでしたか?笑
住所今度送ります〜
今は入試でテンパっておりますので!!
ありがとう!
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