2013年7月13日土曜日

イスラム教を勉強しよう|補足


2日前、イスラム教についての記事を公開した直後に、友達のパンダ君からもっと深い話を聞く機会がありまして、とても分かりやすかったので追記します。

面白かったのでインタビュー形式で。
インタビュアーが私で、答えてくれているのがイスラム教徒のパンダ君という形で表記しています。

あくまでインドネシアのイスラム教徒である人間の、一個人の意見としてご了承ください。宗教というデリケートな問題に対してストレートに聞ける関係と、それを嫌がらずに素直に答えてくれたパンダ君にとても感謝しています。Hatur nuhun pisan Panda.

どうぞ。




——ねえ、私が4年前にパンダに初めて会った時は、お祈りしてるところ見た事無かったし、イスラム教らしい雰囲気なかったんだけど、今はお祈りとかちゃんとやってるよね。どうして? 真面目になったの?

「そうだね。でも真面目になったというよりも、学びが深くなったっていう感じかな。4年前に学部生だった僕よりも、今はもっともっとクルアーン(コーラン/聖書)の教えを深く読み解けてるんだと思う」


——やっぱりムスリムは死ぬまでクルアーンに書いてある事を理解しようと試みるってこと?

「うん、そう。クルアーンっていうのは、なんていうかな、 " 詩 " みたいな書き方がしてあるんだ。だから、言葉通りに読んでも分からないことが多いんだよ。言葉の本来持っている意味を深いところで読み取るべきだと思うし、みんなそうチャレンジしてる。4年前の僕よりも今の僕の方が理解が深いし、今の僕よりも僕のお父さんの方が理解が深い。それを学びが少ない人とか、子供の頃っていうのは分からないから表面的に読むしか無いじゃない?
でも、僕はそれは違うと思っていて、クルアーンの意味っていうのは時代によっても国によっても変わるんだと思うんだよ。だって、30年前と現代の生活を考えても、30年前にやっていたことを今全く同じようにやるのは無理があるでしょ? もちろん本質的な所は同じなんだけど」


——アメリカの9.11のテロの後から、イスラム教っていうのは他教徒から見たら " 危険な存在 " として一緒くたに忌み嫌われてるところがあると思うんだけど、そういうのってどう思う?

「ああいう人たちっていうのは、イスラム教でも本当に少数派なんだ。イスラム教だからって同じ考えを持ってるわけじゃない」


——でも、そういうことって、イスラム教じゃない人とか、イスラム教を勉強してない人には分かりにくいことだよね

「そうなんだよね。ああいった少数派が9.11みたいな世界的に大きな影響を及ぼすようなことをやる。インドネシア内でも同じイスラム教の少数派がテロを起こしたりしてて本当に残念な事だと思うね」


——ニュース見てるとイスラム教徒と他教徒の争いってすごく多い印象あるよ

「あるね。でも、僕が思うのは、イスラム教もキリスト教も、ヒンドゥー教も全部全部、根底っていうのは一緒だと思うんだよ。もちろん同じ神を別の考え方で信じている宗教っていうのもあるし、でもそういうことじゃなくて、根底が一緒だと思うんだ。考え方が違うだけで。なんで僕がそれを思い始めたかっていうと、最近になってからイスラム教以外の宗教の事も勉強するようになったからなんだよね」


——でもあたしは宗教持って無いから、正直言ってそういうのよく分かんないよ

「日本にはね、" ルール " がいっぱいある。社会的ルールが。それを皆ちゃんと守ってるから特定の宗教を必要としないんだと思うよ。そして、そのルールっていものの根底には宗教と同じものが流れてる。年上を敬うとか、物を大切にするとかそういうね。だから宗教っていう名前じゃないだけで、一緒だと思うんだ」

※パンダは幼少期に8年間日本に住んでいました


——自分がイスラム教徒で困った事とかってある?

「困ったっていうよりかは、 " なんで豚食べちゃダメなんだ " とか " なんでお祈りしなくちゃダメなんだ " ってすっごい迷った時期があった。それこそちょうど初めてクロに会った時くらいだから4年前くらいだね。すっごい悩んだ。」


——結構最近なんだね

「うん、そう。でもね、今はそういう悩みっていうのは、学びが深くなった事で無くなったよ」


——逆にイスラム教徒でよかったって思う事って何?

「健康で居られる事かな。生きる上での全てのことはクルアーンに書かれてる。イスラム教で " 禁止 " されていることっていうのは、僕らの健康とか精神にとって良くないことだから禁止されているんだ。ただやみくもに禁止されてるワケじゃないんだよ。
なんでお祈りをするのかなって迷ってた時があったけど、今はお祈りがどんなに大切なのかがよくわかる。僕たちのお祈りって、こう……心臓よりも頭を下に下げるでしょ?そうしてね、頭に一度血を上げるんだって。生活してて下がったり上がったりしたテンションをここで一度平らに均す効果があるらしいよ。そうすることによって一日の生活における " リズム " を波のようにすることができるんだ。だから、僕たちの気持ちとかテンションとかっていうものが上がりきったり下がりきったりすることがなく、常に一定のリズムを保つ事ができるんだって」


——へえ、面白いねそれは。宗教の意味を科学的に考えてみた事って無かったから。心と身体の平和を守るってことかな。

「クロもお祈りしてみたい?」


——したーーい!でも、イスラム教徒にはならないよ!あたし豚食べたいし!(笑)

「いいよ、それでも(笑)」

2 件のコメント:

JANE さんのコメント...

いいね、なんか面白いし、興味深い!
ウチも宗教なんてさっぱり自分とは関係ないと思ってたけど、こういう風に同年代の人と話をしてみると、意外と近付き難い存在じゃないんだって思わせてくれる。

Kuro さんのコメント...

ね!そうなんだよね。
日本人のほとんどは宗教持ってるけど、知らないし意識した事ない人がうちを含めて多いし、それが必要とされるのって葬式の時くらいだったりするわけで。
「宗教」って聞くとビビっちゃうところあるけど、この国にいると宗教と人が切っても切れない関係だから、良い勉強になるし、本当にjaneの言うように単純に面白い。

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